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王様 幽霊発見事件から数週間がたった。 マルフォイは、もはや吟遊詩人などではなく男娼になりかわったギルデロイと寝室にこもりっぱなしである。そして我輩は再度玉座についた。事の顛末をは説 明するとこうなる。 我輩は口をつぐんでマルフォイの横暴に従っていたが、頭の中ではどう反乱をおこしてやろうか、それだけを考えていた。 最初は、JR藤沢駅周辺でうろついている黒人から苗を買って、ルーピンにでも栽培させようかと思っていたのだが、それよりもいいものが手に入ったのでや めた。 数日前、城の門のところに「ODAをよこせODAをよこせ」と物乞いがやってきた。その中国人少女、チョウ・チャンを歓迎するふりしてだまくらかして、 アヘンをぶんどった。正確にはぶんどったのではなく、奪還したのだ。中国人どもが今アヘンで大もうけできるのは18世紀にさんざんインドのアヘンを輸出し てやったからである。だから、イギリス人は無条件に中国人からアヘンを入手することが出来るのだ。 これでルシウスマルフォイを廃人にしてやった。我輩がアヘン漬けにしたのだ。中国人の執念は蛇よりもコブラよりも強いあるよ。これぞ双脚羊を食べている 民族の実力あるよ。しまった、しばらく中国人と仲良くしていたから、口癖がぬけなくなってしまった。 いまでは二人とも1日24時間仲良く涎をたらしラリっていて、部屋から出てくることはめったにない。 それとはまた別の話なのだが、城内中庭の花畑で全裸で走り回っている謎の不審不法侵入者二人組みをついこのあいだ見かけた。この城に客が来ることはめっ たにないので丁重にもてなそうかと思ったが、あまりにも見苦しかったので射殺した。そういえば二人とも金髪長髪の白人だったな。これでこの城も平和になる だろう。よかったよかった。 この国を平和にするために、手始めに我輩はいまいましい地下のピンクのライトを撤去させた。シリウスブラックが我輩に感謝することなど、後にも先にもこ れだけだろうな。我輩、奴の喜ぶことなどしたくはないが、気味の悪いものは始末したい。 ついでにしばらく見ていなかった黒髪でメガネの男の牢をのぞく。彼は暗闇の中で部屋に隅に向かって座り、「希望勇気正義希望勇気正義希望勇気正義希望勇 気正義」とぶつぶつ呟いていた。「おい、ポッター」と声をかけても「希望勇気正義希望勇気正義希望勇気正義希望勇気正義」と繰り返すだけで、人間としての 会話は不可能なようだ。 ……この国の未来も明るいな。よかったよかった。 ![]() |